【雛形あり】信書開封罪とは?手紙を勝手に開けるのは犯罪!

2021/07/01ブログ

※告訴状の雛形は記事の一番最後にあります。

自分の家のポストに入っていた手紙を誰かが勝手にとって読んだらしく、玄関前に開いた封筒と中身が置いてあった…。
ストーカー?それとも関係の悪い隣人の嫌がらせ?
こんなことがあったら恐怖で眠れません。
しかし、手紙が盗られたわけではないし…警察は何かしてくれるでしょうか。

 

人の手紙を勝手に開けるのは信書開封罪という犯罪

 

大丈夫です。
人の手紙を勝手に開けること、これは「信書開封罪」として刑法第133条に定められており、れっきとした犯罪です。

 

(信書開封)
第百三十三条 正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

 

そもそも、人の手紙を勝手に取ろうとして玄関のポスト前まで来てしまっている時点で住居侵入罪(第130条)にも該当するはずですが、封をしてある信書を開けること自体もやはり犯罪なのです。
この点も併せて警察に相談しましょう。

 

 

被害者の告訴が必要

 

信書開封罪は告訴がなければ公訴を提起することができない(=検察官が犯罪として起訴できない)ことになっています(刑法第135条)。
このような犯罪のことを「親告罪」といいます。

告訴とは、①捜査機関に対して犯罪事実を申告し、②その訴追を求める意思表示をいうとされています(裁判所職員総合研修所監修『刑事訴訟法講義案』四訂版、2011年、司法協会、第172頁)。

 

告訴=①犯罪事実の申告+②訴追を求める意思表示

 

告訴は口頭でもすることが可能ですが、書面で行うのが一般的です。

告訴は被害届とよく似ていますが、①捜査機関に対する犯罪事実の申告だけでなく、②犯人を処罰してほしい旨の意思表示を含んでいる点で被害届とは異なります(田中開『刑事訴訟法』第3版、2008年、有斐閣、第52頁)。

告訴をすることができる人(=「告訴権者」)については明文はありませんが、発信者(手紙を出した人)も受信者(手紙を受け取る人)も「被害者」(刑事訴訟法第230条)として告訴ができると解されています(前田雅英他『条解刑法』第3版、2002年、弘文堂、第395頁)。

 

手紙を勝手に開けられたら告訴を検討しましょう

 

以上のように、手紙を勝手に開けられてしまった場合、手紙を出した人も手紙の宛先となっている人もどちらも警察や検察官に告訴をすることができます。

このような被害に遭われているならば、弁護士に相談し、告訴状を書いてもらうことをお勧めします。

弊所でもご相談を承りますので、お気軽にご連絡ください。

 

追記:告訴状雛形(有料)

 

私が当初考えていたよりも、手紙を盗み見られる被害に遭われる方は多いようで、本記事を公開して以来、全国の方からご相談をお寄せいただいています。

そこで、真剣に信書開封罪の被害にお悩みの方のため、告訴状のひな形をご用意しました。
市販の書式本に載っているような形式的な内容を超え、私の経験を反映し種々の工夫を凝らしたものになっています。
空欄部分を埋めるだけで、信書開封罪の告訴状としての体裁が調うようになっています。

きっとお困りのあなたのお役に立てることと思いますので、ご興味がある方は下記サイトよりダウンロードしてご利用ください。

告訴状(信書開封罪用)|五十嵐将志@弁護士|note

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