【なぜ議事録が足りていないとダメなのか?】コーポレート・ドキュメント管理の重要性について

2024/02/10ブログ

 

ご質問を受けましたのでスタートアップにとってコーポレート・ドキュメントの管理がなぜ重要かについて書こうと思います。

 

議事録等は会社の唯一のエビデンス

まず我が国では会社法上、株主総会議事録などのドキュメントの作成と保管・備置が義務付けられています。

実は国や法務局は一般にイメージされているほど個々の会社のことを把握したり管理したりはしていません。
その会社のことはその会社しか知らないのです。
そのため議事録等のドキュメントがないと会社がどうなっているのかということが誰にもわからなくなってしまいます。

また、会社は法人格であり存在としては壮大なフィクションです。
会社の存在は法律と手続によってのみ支えられているのであって、これが欠けた場合は存在自体が揺らいでしまいます。
議事録等はその手続が実施されたことの唯一のエビデンスです。

だからこそ法律上、議事録等の作成が義務付けられているのです。

 

実際には多くの会社で軽視されている

しかし残念ながらこれらのルールは多くの会社で守られていません。
これはおそらく
①ほとんどの会社が同族会社で株主に会社のことを問われる経験がないこと
②専門家コストを嫌うこと
が原因だと思われます。

外部株主がいなければドキュメントのチェックもされません。
そのため多くの会社はドキュメント管理がいい加減でも問題はほとんどありませんでした。

ドキュメント管理はいい加減でも大丈夫。
これが今の日本の常識と言ってもいいと思います。

そうなると、日本で「普通に」会社をやっているとドキュメントの管理というのはどうしても脇が甘くなってきます。

 

スタートアップは外部株主が入る

しかしスタートアップは外部株主が入ってくる会社です。

※スタートアップの資金調達についてはこちらの記事をご参照ください。

スタートアップの資金調達とは? – 弁護士法人アインザッツ (einsatz.law)


外部株主として出資しようと検討してくれる投資家は、登記や議事録を読むことで会社がきちんと経営者の言うとおりに成立し存在しているのかを確認します。

このときにドキュメントが欠けているとどうなるか。
目の前にいる人間が本当に取締役なのか、株主なのか、登記が正しいのか、全くわからなくなってしまうのです。

なぜなら証拠が一つもないのですから。

「自称株主」、「自称代表取締役」…そんな人を信用できるか、大金を預けられるかという話です。

投資家だって個人投資家以外は自らのファンドのお客様である出資者からお預かりしたお金を運用している立場なわけで、そんなリスクは背負えません。
そもそも本当だと信じたとしても、せいぜい会社法上の義務も果たせない経営者というレベルでしかありません。

だからドキュメント管理が重要なのです。

 

会社とドキュメントはほぼイコール

ドキュメントは会社がきちんと成立していること、会社があるべき姿で存在していることを証明するための唯一のエビデンスであり、かつ会社法人というフィクションたる器の存在そのもの、血と肉そのものです。

ドキュメントがないなら、会社もありません。
ドキュメントをなくすということは会社をなくすことに等しい、そう言っても過言ではないのです。

だからこそドキュメント管理は大事です。
必ず実施しましょう。

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