2022/05/04ブログ
この記事の内容
ざっくり解説シリーズ第3弾。
この記事では、ストックオプション(SO)って結局何なの?という点についてざっくり解説します。
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ストックオプションは予約権!
ストックオプションの定義
ストックオプション(SO)とは、
- 将来、株式を買うことができる権利(=新株予約権) のうち、
- 自社の役員や従業員に対するインセンティブ(やる気を出させる仕組み)として発行されるもの
をいいます。
株式を買うことができる権利?
株式を買うことができる権利、というと若干イメージしづらいかもしれませんが、普段の生活で人気商品を予約するときとあまり変わりません。
あなたがニンテンドーSwitchをamazonで予約したとき、あなたは
ニンテンドーSwitchが入荷されたとき、お金を払えばSwitchを買うことができる権利
を持っていることになります。
これと同じように、従業員がストックオプション(SO)を持っているとき、従業員は
会社がうまくいったとき、お金を払えば会社の株式を買うことができる権利
を持っていることになるのです。
お金を払わないと買えないんじゃ意味なくない?
ここまでで「お金を払わないと買えないんじゃ意味ないし、別に要らなくない?」と思った方は鋭いです。
もし払わなければいけない金額が株式の時価であるならほとんど意味はありません。市場で買えば良いからです。
1万円のものを1万円で買えても普通はあまり嬉しくありません。
しかし、ストックオプション(SO)を持っていると通常、時価よりもずっとずっと安い値段で会社の株式を買うことができるのです!
例えば、会社の株式の時価が1株1万円だったとしても、ストックオプション(SO)の発行時に決められた100円を支払えば、株式を1株買うことができます。
ストックオプションはインセンティブ!
なぜストックオプション(SO)を持っていると株式が安く買えるのか
では、なぜストックオプション(SO)を持っていると株式を安く買うことができるのか。
理由はシンプルで、最初にそう決めて発行しているからです。
例えば、ストックオプション(SO)を発行する際に、
「100円で1株、うちの会社の株式を買うことができる権利」
として発行しているのです。
なぜ株式が安く買えるようストックオプション(SO)を発行するのか
このようなストックオプション(SO)を発行すると、もらった人からすれば株価が上がってくれた方が得です。
100円でx円の株式を1株、買うことができる権利
をもらったら、株価(x)はできる限り高くなってくれた方が嬉しいですよね。
この、「会社の株価を上げたい!=会社を成長させたい!」という気持ちを
・創業者やその他の株主 と
・ストックオプション(SO)をもらった役員・従業員
が一緒に持つことができるようになるので、インセンティブ(やる気を出させる仕組み)として使われているのです。
報酬・給料の代わりという意味合いも
ストックオプションには役員や従業員に対して支払う報酬や給料の代わりという側面もあります。
スタートアップはお金がないので、例えば優秀な経営者や技術者を雇い入れたいと思っても高い報酬や給料を支払うことができません。
そうすると、優秀な経営者や技術者はポンとお金を出してくれる大きな会社に行ってしまいます。
そこで、報酬や給料の代わりにストックオプションをお渡しするのです。
「今はあなたに見合う報酬やお給料をお支払いすることはできませんが、代わりにストックオプションをお渡しします。一緒に会社を大きくしてスタートアップドリームをつかみましょう!」
といって優秀な経営者や技術者を勧誘するのです。
株式じゃダメ?
株価が上がっていくことをインセンティブにするなら、ストックオプションなどという面倒な手段を使わずとも株式をそのまま渡してしまえばよさそうです。
しかし、株式を渡してしまうとその人は「株主」になってしまいます。
そのため、株主総会の度に株主として取り扱わなければならなくなり、手続も面倒で、何より会社としての意思決定が遅くなります。
この、「株主が増えると管理が面倒くさい」という問題は意外と無視できません。
未完成のビジネスモデル、貧弱な財政基盤のスタートアップからスピード感までなくなってしまったらもういいとこなしです。
スタートアップはどんどん意思決定してサクサク前に進んで黒字化に突き進まないといけません。
そのため、株式ではなくIPO(株式上場)まで行使できないようにしたストックオプションをお渡しするのです。
これによって、インセンティブ(やる気を出させる仕組み)とスピーディーな意思決定を両立することができます。
税制適格ストックオプション・信託型ストックオプション
これらについては長くなるので詳細は別の記事にまとめます。
ざっくりいえば、
- 税制適格ストックオプションは税金面でお得なストックオプション、
- 信託型ストックオプションは最初にまとめてたくさん発行して保存しておくことで、税制適格ストックオプションの使いづらいところを工夫で乗り越えたストックオプション
のことです。
ストックオプション(SO)は夢がある!
ストックオプションの発行は資金調達のために株式を発行する場合と異なり、自分の会社の役員や従業員と成功を分かち合うためのものでとても夢があります。
あなたのビジネスモデルの可能性を武器に、ストックオプションを渡して仲間になってもらいましょう!
起業しましょう!!