起業しよう!スタートアップとは?

2022/04/23ブログ

この記事の内容

本記事では、ファンド・スタートアップ法務を専門にする弁護士がスタートアップの起業をお考えの皆様に向け、スタートアップとは何か、そしてスタートアップを起業してEXITするまでの大まかな流れについてカジュアルにご説明します。

ざっくりと全体像を理解していただくため誤解を恐れず私見を大いに交えておりますのであらかじめご了承ください。

 

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そもそもスタートアップとは?

「スタートアップ」の定義は使う人や場面によって大きく異なりますが、本記事ではスタートアップとは以下のような企業を指すこととします。

 

  1. 成長スピードが速い
  2. イノベーションを志向する
  3. EXITを目指す

つまり、今までにない商品やサービスを創って売る企業で、あっという間に成長することで投下資金の回収を目指すもののことをスタートアップと呼んでいます。

 

似て非なる概念:スモールビジネス

スタートアップに対し、よく混同される起業形態としてスモールビジネスの起業があります。

伝統的なビジネス、例えば、本屋やカフェといったビジネスはスモールビジネスにあたります。

 

  1. 成長スピードは遅い
  2. 伝統的ビジネス
  3. EXITを目指さない

といった点でスタートアップとは異なります。

 

なぜ区別する必要があるのか

スタートアップとスモールビジネスを区別する必要性は、その事業計画の違いから来るものです。

スモールビジネスの事業計画

スモールビジネスは伝統的なビジネスを営みます。

そのため、ビジネスとしては確立されているので順調にいけば黒字化できることが類型的に明らかです。
したがって、銀行や信用金庫などからお金を借りるデット・ファイナンス(借入による資金調達)がメインの資金調達方法となります。

また、既に競合がいるので市場を独占するようなこともありません。
したがって、成長は緩やかなものとなることが予想されます。

 

スタートアップの事業計画

これに対し、スタートアップはイノベーティブなビジネスを営みます。
これまでに世界になかった商品やサービスを売るのです。

そのため、本当にそのような商品やサービスにニーズがあるのか、ビジネスとして成り立つのかについてはやってみないとわかりません。
むしろ、成り立たない可能性の方が高いでしょう。

そのようなビジネスに対してお金を貸すのはリスクが高すぎます。
当然、銀行や信用金庫はお金を貸してくれません(逆に返す当てもないので借りるべきではないでしょう。)。

そのため、株式を発行して投資家から出資をしてもらうエクイティ・ファイナンス(株式発行による資金調達)がメインの資金調達方法となります。

このようなビジネスは競合がいないはずですので、うまくいけば市場で大きなシェアを占めることができます。

 

混同するのは危険!

上記のように、スタートアップとスモールビジネスはそもそもの事業計画が違い、すべきこともそのスピードもまるで違います。

スタートアップには明確な定義はなく自分の会社をどう呼ぶかは自由ですが、事業計画の差による区別は必要です。

 

なぜスタートアップの成長は速いのか

スタートアップは概ね赤字

これまでに世界に無かった商品やサービスを創って売るのですから、開発にはお金がかかりますし、売り始めてもすぐには売れません。

そのため、世の「スタートアップ」と呼ばれる企業はそのほとんどが赤字です。

投資家から集めたお金を開発とマーケティングに注ぎ込み大量の赤字を吐き出し続けながら、キャッシュが尽きるよりも前に一刻も早く黒字に転じて急上昇を目指す。
そういったスリリングな事業計画なのです。

したがって、スタートアップの成長が速いのはイノベーティブだからというだけでなく、

早く成長して黒字化しないとつぶれるから

という切実な事情もあるのです。

 

スタートアップのステージ

スタートアップの成長段階は「ステージ」に分けて呼ばれることがあり、概ね以下のように整理されます。

  1. シード
  2. アーリー
  3. ミドル
  4. レイター
  5. EXIT

シードステージ

アイディア段階、創業前後、プロダクトのプロトタイプ開発段階、初期ユーザー獲得段階など、最初期のステージです。

 

アーリーステージ

プロダクトの正式版ローンチ、初期ユーザーが獲得でき始めている段階など、初期のステージ。

役割分担のあるチームを作っていく時期です。

 

ミドルステージ

ユーザーがある程度付いてきた成長段階。収益化が見えてきて黒字化するところも。

組織も大きくなってくる時期です。

 

レイターステージ

継続的に収益化できるビジネスモデルを確立したステージ。

会社としての組織づくりも仕上げに入る時期です。

上場準備に入るところも。

 

EXIT

IPO(株式上場)やM&Aによって創業者や投資家が資金を回収します。

株価が取得時の100倍を超えることも珍しくありません。

 

なぜEXITを目指すのか

創業者やメンバー、投資家に対してキャピタルゲインで報いるため

ざっくりと申し上げれば、EXITを目指す理由は頑張ってきた創業者、ついてきてくれたメンバー、そして自分達を信じて投資してくれた投資家に対して、株価の上昇による差益(キャピタルゲイン)で報いるためです。

 

創業者のあなたは、人生の貴重な時間の多く(おそらく10年程度)を稼げもせず赤字を垂れ流す事業に捧げてきました。

あなたについてきてくれたメンバーは、他の会社に行くこともできたのにあなたを信じて(おそらく安い報酬で)あなたの事業に貢献してくれました。

あなたに投資してくれた投資家は、ほとんどの投資家があなたからの出資のお願いを袖にする中、十中八九潰れるであろうあなたの会社に賭け、資金を投下してくれました。

 

創業者であるあなたはもちろん、メンバーや投資家はあなたの会社の株式や新株予約権を持っています。
メンバーや投資家にはその貢献に応じエクイティ(株式や新株予約権)を代わりに渡してきたからです。

EXITがうまくいけば、あなたの会社の株式の価値は何十倍、何百倍、何千倍にもなります。

ハイリスクを背負った皆でハイリターンを獲得する手段。それがEXITなのです。

 

スタートアップの起業は一味違う!

このようにスタートアップの起業は一般的な起業と異なります。

これまでにないイノベーティブなビジネスをするというやりがい。
あらゆることがスピーディーに動いていくスピード感。
ダイナミックな資金の動き。

そして魅力的な起業家仲間、謎多きキラキラVCたち、暗躍する専門家らが独自のカルチャーを形成しています。

この魅力に取り憑かれ、何度も起業を繰り返す人(シリアル・アントレプレナー)もいます。

 

あなたもこのカルチャーに触れてみたくありませんか。

 

起業しましょう!

 

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